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中国勤務者の給与に対する取扱い

2016/01/08 カテゴリー:国際税務What's New

■質問


日本の親会社である当社は、使用人A氏を2年間の予定で中国の子会社に出向させる予定です。A氏に対する給与は中国現地法人より支払われますが、現地法人の給与水準が低いことからその補てんのため、当社が国内で留守家族に対して給与を支払います。
この場合、日本払い給与(留守宅手当)に対し所得税は課税されるのでしょうか。
また、法人税法上、当該給与は損金の額に算入できるのでしょうか。

■回答


A氏の勤務が中国(国外)で行われるのであれば、たとえその給与が日本より支払われる場合であっても日本の所得税は課税されません。
また、法人税法上、出向元法人(日本親会社)が出向先法人(中国子会社)との給与条件の格差を補てんするために留守家族に対して支給した給与の額は、出向元法人の損金の額に算入できるものとされています。

■解説

1. 所得税法上の検討

(1)居住形態の確認
所得税法上、個人は「居住者」と「非居住者」に区分し、さらに「居住者」については、「永住者」と「非永住者」に区分されます。
海外での勤務期間が1年未満の予定の場合には「居住者」として取り扱われますが、日本を1年以上の予定で離れる場合、出国した日の翌日から日本の「非居住者」となります。

(2)所得税の課税範囲
 非居住者となった使用人に支払う給与や賞与については、その勤務が国内において勤務するものが国内源泉所得とされ、日本で所得税及び復興特別所得税が課税されることとなります。
一方で、非居住者となった使用人の海外勤務に対する給与や賞与については、支払いが国内、国外を問わず、日本で所得税及び復興特別所得税は課税されません。
本件の場合、A氏の勤務が中国において行われたことに対して支払われる給与や賞与であれば、たとえ日本国内の留守家族に支払われる給与であっても国内源泉所得には当たらないため、日本において所得税及び復興特別所得税は課税されないことになります。

2. 法人税法上の検討

出向元法人が出向先法人との間の給与の差を負担する場合、両社の給与条件の格差を補てんするものとして合理性があるもののみ、出向元法人の損金の額に算入されます。その具体例として、出向先法人が経営不振等の理由で支給できない賞与や、出向先が海外であることにより支給する留守宅手当などがあります(法人税基本通達9-2-47)。

本件の場合、当該負担金が留守宅手当程度のものであることから、法人税法基本通達9-2-47における(注)2に該当するものとされ、「出向元法人が出向先法人との給与条件の格差を補てんするために出向者に対して支給した給与の額」として日本親会社の損金に算入できるものと考えられます。

(参考)
法人税法基本通達9-2-47:出向者に対する給与の格差補てん

 出向元法人が出向先法人との給与条件の格差を補てんするため出向者に対して支給した給与の額(出向先法人を経て支給した給与も含む。)は、当該出向元法人の損金の額に算入する。
(注)出向元法人が出向者に対して支給する次の金額は、いずれも給与条件の格差を補てんするために支給したものとする。
 1. 出向先法人が経営不振で出向者に賞与を支給することができないため出向元法人が当該出向者に対して支給する賞与の額
 2. 出向先法人が海外にあるため出向元法人が支給するいわゆる留守宅手当の額

                                  以上

給与所得者の課税関係 /税理士 藤村浩一郎

2009/11/24 カテゴリー:国際税務

はじめに

海外転勤等により海外で勤務することとなった個人や、日本での勤務のため海外から来日した個人など、給与所得者が居住者又は非居住者に該当した場合の課税関係を整理します。

国際税務_給与所得者の課税範囲

居住者と非居住者の判定(住所の推定規定の取扱い)

2009/11/16 カテゴリー:国際税務

はじめに

所得税法上、日本に住所を有する者は、居住者とされます。
しかし、職業等の理由により、短期間だけ国内又は国外に居住する個人については、その個人の住所が日本にあるかどうかの判定を行うことは困難です。
したがって、所得税法では住所に関する推定規定を設けています。

国際税務_住所の推定規定