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連結納税の計算構造と実務上の注意点

2010/12/15 カテゴリー:連結納税

はじめに

連結納税とは、連結グループを1つの法人とみなして、法人税の申告及び納付をする制度です。単体納税との最大の相違点は、連結グループ内に所得(黒字)法人と欠損(赤字)法人がある場合において、その所得と欠損を通算して課税所得を計算できるという点にあります。
 ここでは連結納税を採用した場合に、特に理解が必要となる計算構造及び実務上の注意点について解説します。

連結納税の計算構造と実務上の注意点

連結納税のメリット・デメリット

2009/06/01 カテゴリー:連結納税

1, 連結法人間の損益通算

メリット デメリット
  • 連結納税グループ内の法人間で、所得と欠損の通算を行えるため、グループ全体で見た場合の納税額を減少させることが可能です。
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2, 連結納税の範囲

メリット デメリット
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  • 連結親法人と100%の資本関係がある法人は、その法人の意思とは関係なく、強制的に連結納税に加入する必要があります。

3, 連結納税の取り止め

メリット デメリット
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  • 連結納税は継続適用が原則であるため、連結納税を取り止めるためには、やむを得ない事情があることについて、国税庁長官の承認を受ける必要があります。

4, 連結事業年度

メリット デメリット
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  • 連結親法人の事業年度で連結申告を行うこととなります。よって、連結子法人の事業年度が連結親法人の事業年度と異なる場合には、連結子法人は事業年度末の決算とは別に、連結納税のためにみなし事業年度による決算作業を行う必要があり、事務作業が増大することとなります(そのため連結親法人に事業年度を合わせることが望まれます)。

5, 事務作業量の増大

メリット デメリット
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  • 申告業務に要する作業量が増加することが予想されます。とりわけ、連結親法人については、各連結子法人の取りまとめや、税務スキルの高くない連結子法人の税務担当者の指導等の作業が必要となります。なお、弊社関連会社の株式会社パートナーズ・ソリューションでは、こうした連結納税に関するASPによる連結納税ソフトの提供、申告業務の受託、連結納税申告に係るアドバイザリー等の業務を行っており、連結納税に関する各種サポートを承っております。

6, 受取配当金の益金不算入

メリット デメリット
  • 連結法人からの配当金は、その全額が益金不算入となります。有利子負債を有する持株会社などは、子法人からの配当金を連結配当金として吸い上げることで、その全額を無税とすることが可能です(単体納税では、有利子負債を有する持株会社などは、子会社から吸い上げた配当金のうち有税となる部分が生じます)。
  • 控除負債利子の計算は、連結グループ全体で行うことから、連結全体で益金不算入となる金額が増加する場合があります。
  • 持株割合が25%以上の外国子会社からの配当金に係る95%益金不算入の適用について、その対象となる外国子会社の判定は連結納税グループ全体の持株割合で行うこととなるため、連結納税を選択することで対象となる外国子会社が増加する場合があります。
  • 控除負債利子の計算は、連結グループ全体で行うことから、連結全体で益金不算入となる金額が減少する場合があります。

7, 交際費の損金不算入制度

メリット デメリット
  • 連結親法人が中小法人(期末資本金額が1億円以下)に該当する場合には、600万円の定額控除限度額(平成21年4月1日以後修了事業年度)の適用があります。
  • 連結親法人が大法人(資本金1億円超)に該当する場合には定額控除限度額の適用を受けることは出来ません。
  • 仮に連結親法人が中小法人に該当した場合でも、連結全体の交際費のうち600万円までの部分にしか定額控除限度額の適用がないため、連結グループ内に複数の中小法人が存在する場合には、単体納税と比較して交際費に対する法人税額等は増加することとなります。

8, 寄付金の損金不算入

メリット デメリット
  • 損金算入限度額の計算は連結グループ全体で行うことから、単体納税時と比較して損金算入される金額が増加する場合があります。
  • 連結法人間の寄付金は全額が損金不算入となります。
  • 損金算入限度額の計算は連結グループ全体で行うことから、単体納税時と比較して損金不算入額が増加する場合があります。

9, 連結開始時(加入時)の時価課税

メリット デメリット
  • 連結納税開始時に一定の連結子法人が保有する一定の資産(固定資産、土地、有価証券等)を時価評価する必要があります。よって、それらの資産に含み損がある場合には、その含み損を計上することが可能となります。
  • 連結納税開始時に一定の連結子法人が保有する一定の資産(固定資産、土地、有価証券等)を時価評価する必要があります。よって、それらの資産に含み益がある場合には、その含み益を計上することが必要となります。

10, 特定の資産の譲渡損益の繰延

メリット デメリット
  • 連結納税グループ内で含み益のある特定の資産(固定資産、土地、有価証券等)の譲渡を行った場合には、その譲渡益に対する課税は繰り延べられます(譲渡を受けた法人がその資産を再譲渡した場合等には、繰り延べられていた譲渡益に対する課税が行われます)。
  • 連結納税グループ内で含み損のある特定の資産(固定資産、土地、有価証券等)の譲渡を行った場合には、その譲渡に係る譲渡損は繰り延べられることとなります(譲渡を受けた法人がその資産を再譲渡した場合等には、繰り延べられていた譲渡損が損金算入されます)。

11, 連結開始前の繰越欠損金

メリット デメリット
  • 連結開始前の連結親法人の繰越欠損金は連結納税グループに持ち込めることから、連結親法人で繰越欠損金を使い切ることが難しい場合でも連結子法人の所得に対して使用することが可能です。
  • 連結開始前の連結子法人の繰越欠損金は、連結開始に伴い切り捨てられます。

12, 組織再編成

メリット デメリット
  • 連結納税グループ内で特定資本関係発生後5年以内の適格組織再編成が行われた場合には、法人税欠損金及び住民税欠損金(控除対象個別帰属税額・控除対象個別帰属調整額)の引き継ぎ及び繰越の規制を受けません(事業税欠損金については、単体納税と同様にみなし共同事業要件を満たす必要があります)。
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13, 試験研究費の税額控除

メリット デメリット
  • 試験研究費の税額控除について、控除限度額が連結グループ全体の連結法人税額の30%(平成21年4月1日から平成23年3月31日までに開始する事業年度)となることから、単体納税を行う場合に比較して税額控除の適用を受けることが出来る金額が増加する場合があります。
  • 連結親法人が中小企業者等に該当する場合には、税額控除率が12%と有利になる中小企業者等の試験研究費の特別控除の特例の適用があります。
  • 連結法人税が生じない場合などは控除限度額がゼロとなるため、単体納税に比較して税額控除の適用を受けることができる金額が減少する場合もあります。

14, 教育訓練費の税額控除制度

メリット デメリット
  • 連結親法人が中小企業者等に該当する場合には、連結グループ全体で中小企業者等に係る教育訓練費の税額控除の規定の適用を受けることができます。連結子法人が中小企業者等に該当しない場合など、連結納税を選択することでこれらの法人についても教育訓練費の税額控除の適用を受けることが出来ます。
  • 連結親法人が中小企業者等に該当しない場合には、中小企業者等に係る教育訓練費の税額控除の規定の適用を受けることが出来ません。そのため、連結子法人が中小企業者等に該当している場合など、連結納税を選択することでこうした連結子法人についても教育訓練費の税額控除の適用を受けることが出来なくなります。

15, 特定同族会社の留保金課税

メリット デメリット
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  • 連結親法人が特定同族会社に該当する場合には、連結グループ全体で留保金課税の適用を受けることとなります。

16, 法人税率の特例

メリット デメリット
  • 連結親法人が中小企業者等(期末資本金額が1億円以下)に該当する場合には、連結所得の800万円以下の部分に対する税率が18%(平成21年4月1日から平成23年3月31日までに開始する事業年度)となります。
  • 連結親法人が中小企業者等(期末資本金額が1億円以下)に該当しない場合には、18%の法人税率の特例の適用がありません。その場合、中小企業者等に該当する連結子法人があったとしても30%の法人税率が適用されます。
  • 連結親法人が仮に中小企業者等に該当した場合でも、連結全体の連結所得のうち800万円までの部分にのみ18%の法人税率の特例が適用されるため、連結グループ内に複数の中小企業者等が存在する場合には、単体納税と比較して実質的な法人税率は増加することとなります。

17, 欠損金の繰り戻し還付

メリット デメリット
  • 連結親法人が中小企業者等(期末資本金額が1億円以下)に該当する場合には、連結欠損金につき繰戻し還付の適用を受けることが出来ます。
  • 連結親法人が中小企業者等(期末資本金額が1億円以下)に該当しない場合には、欠損金の繰戻し還付の適用はありません。

18, 税効果会計(個別財務諸表)

メリット デメリット
  • 連結納税の場合、繰延税金資産の回収可能性の判断は、その法人の将来課税所得のほか、他の連結法人の将来課税所得も考慮して行われます。欠損が見込まれる法人でも他の法人の所得と相殺可能な一時差異については繰延税金資産の計上が可能となります(地方税の回収可能性の判断は単体ベースで行うため、単体納税の場合と比較して違いはありません)。
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19, 税効果会計(連結財務諸表)

メリット デメリット
  • 連結納税の場合、連結所得の発生見込みにより回収可能性の判断が行われることから、十分な連結所得が生じる見込みである場合には、欠損法人の一時差異についても繰延税金資産の計上が可能となります(地方税の回収可能性の判断は単体ベースで行うため、単体納税の場合と比較して違いはありません)。
  • 連結納税の場合、連結所得の発生見込みにより回収可能性の判断が行われることから、連結欠損が生じる見込みである場合には、単体ベースで計上した各法人の繰延税金資産の合計額よりも、連結ベースで計上する繰延税金資産の金額が減少する場合があります(単体ベースで十分な所得が生じる見込みであることから繰延税金資産の全額を計上している法人がある場合に、連結ベースで連結欠損が見込まれる場合は、各法人の繰延税金資産の合計額から連結修正により繰延税金資産を減額する処理が必要となる場合があります)。
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