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決算賞与の取扱い(使用人賞与の損金算入時期)

2016/06/10 カテゴリー:法人税/消費税What's New

1. はじめに


 法人が支給する使用人賞与は、原則としてその支給日の属する事業年度の損金の額に算入されます。ただし、一定の要件を満たした未払賞与については、未払いであっても損金算入することが認められます。(法令72条の3)
 今回はこの要件を整理するとともに実務上留意すべき点をご説明します。

2. 損金算入時期の原則


 使用人に対して支給する賞与(使用人兼務役員に対して支給する使用人分賞与を含みます)については、原則としてその賞与が支払われた日の属する事業年度の損金の額に算入されます。

3. 未払賞与の損金算入時期


次に掲げる賞与は、それぞれの区分に応じた事業年度の損金の額に算入されます。

(1)  労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与
   (使用人にその支給額を通知しており、かつ、その支給予定日又はその
   通知日の属する事業年度においてその支給額を損金経理しているもの)
    ⇒ その支給予定日又はその通知日のいずれか遅い日の属する事業年度

(2)  次に掲げる要件を全て満たす賞与(下記図表参照)
   ① その支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対し
    て通知をしていること
   ② ①の通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知日の属する
    事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
   ③ その支給額につきその通知日の属する事業年度において損金経理している
    こと
      ⇒ その通知日の属する事業年度


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4. 留意事項


(1)  上記3(2)の未払賞与を損金に算入する際には、以下の点に留意する必要が
   あります。

   ① 支給額の通知(法基通9-2-43)
    法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合に
    は、事業年度末時点で支給額が確定していないことになりますので、上記
    3(2)①の支給額の通知には該当しません。

   ② 同時期に支給を受ける全ての使用人(法基通9-2-44)
    賞与の支給について、いわゆるパートタイマーや臨時雇用者等とその他の
    使用人とを区分している場合には、その区分ごとに、上記3(2)①の支給額の
    通知を行ったかどうかを判定することができます。

(2)  上記3により損金に算入された未払賞与は、雇用者給与等支給額が増加した
   場合の法人税額の特別控除の対象となる給与等に含まれます。

(3)  未払賞与に係る社会保険料は、その計算の対象となった月の末日の属する
   事業年度の損金の額に算入されますので、実際に賞与を支給した事業年度の損
   金の額に算入されます。(法基通9-3-2)
    そのため、未払賞与を計上した事業年度での損金算入は認められませんので
   注意が必要です。

保険差益の圧縮記帳

2016/05/27 カテゴリー:法人税/消費税What's New

1.はじめに


 日本は災害の多い国です。阪神淡路大震災(平成7年)、新潟県中越地震(平成16年)、
東日本大震災(平成23年)などは、皆様の記憶にも新しいところだと思います。このような災害により法人の有する固定資産が滅失等し、一定の保険金等の支払を受けた場合には、その支払を受けた保険金等は、原則として、支払を受けた事業年度の益金に算入されます(法法22②)。しかし、保険金等の取得は法人の自発的な意思によるものではなく、また、保険金等に課税することにより代替資産の取得が困難となることもあるため、一定の要件を満たした場合には圧縮記帳を適用し、課税を繰り延べることができます。

2.圧縮記帳の内容


 法人が、各事業年度においてその有する固定資産の滅失等により保険金等の支払を受け、その事業年度においてその保険金等をもってその滅失をした固定資産に代替する同一種類の資産(以下「代替資産」といいます。)の取得をし、又はその損壊した固定資産若しくは代替資産となるべき資産の改良をした場合には、これらの固定資産について、圧縮限度額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額するなど一定の方法で経理したときは、その減額した金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます(法法47①)。
 また、法人が保険金等の支払に代えて代替資産の交付を受けた場合にも、その代替資産について、圧縮記帳の適用を受けることができます(法法47②)。

3.圧縮限度額


 圧縮限度額は、次の算式により計算した金額です。
(1)保険金等の支払を受けた場合(法令85)

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(2)保険金等の支払に代えて代替資産の交付を受けた場合(法令87)

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4.保険金等の範囲


 この圧縮記帳の適用対象となる保険金等とは、法人がその有する固定資産の滅失又は損壊(以下「滅失等」といいます。)により支払を受けた保険金、共済金又は損害賠償金で、その滅失等のあった日から3年以内に支払の確定したものをいいます(法法47①、法令84)。したがって、棚卸資産の滅失等により支払を受ける保険金等や、3年以内に支払が確定しなかった保険金等は対象となりません。

5.特別勘定経理


 保険金等の支払を受けた事業年度において、代替資産の取得又は改良をしなかった場合でも、その事業年度終了の日の翌日から原則として2年以内に代替資産の取得又は改良をする見込みであるときは、保険差益金の額以下の金額を特別勘定として経理し、その経理した金額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます(法法48①)。

6.申告要件


 上記の圧縮記帳の規定は、確定申告書に損金算入に関する明細の記載がある場合に適用されます(法法47③、法法48④)。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直しについて

2016/04/15 カテゴリー:法人税/消費税What's New

1. はじめに


平成27年度税制改正では、消費税法の改正として、国内外の事業者間の競争条件の公平を確保するという観点から国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について見直しが行われました。今回はその改正の全体像を整理します。

2. 「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」の概要

「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」における改正の概要は以下のとおりです。

(1) 電気通信利用役務の提供に係る内外判定の基準の見直し
                    (消法2①八の三、4③三)


 電子書籍・音楽の配信、広告の配信・掲載、クラウドサービスなどの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準(内外判定基準)が、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地から「役務の提供を受ける者の住所等」に改正されました。
 例えば、国内事業者がインターネット広告を国外事業者に依頼していた場合、従来は「不課税取引」とされていたものが、改正により「課税取引」となります。

(2) 課税方式の見直し(「リバースチャージ方式」の導入)
        (消法2①八の四、5①、28②、45①一、改正法附則42)


 電気通信利用役務の提供については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外のものとに区分されることとされました。
「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質又はその役務の提供に係る取引条件等から、その役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいいます。
事業者向け電気通信利用役務の提供については、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換する、いわゆる「リバースチャージ方式」が導入されます。リバースチャージ方式は、当分の間、当該課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売上割合が95%未満である事業者にのみ適用されます。
なお、事業者向け電気通信利用役務の提供を行う国外事業者は、その役務の提供に際し、役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課される旨を、あらかじめ表示する必要があります。


(3) 国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の
 「電気通信利用役務の提供」に係る仕入税額控除の制限 (改正法附則38①)


 電気通信利用役務の提供のうち、事業者向け電気通信利用役務の提供以外のもの(以下「消費者向け電気通信利用役務の提供」といいます。)については、当該役務の提供を行った事業者が申告納税義務を負うこととなりますが、国内事業者が国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、当分の間、当該役務の提供に係る仕入税額控除が制限されることとなりました。

(4) 登録国外事業者制度の創設(改正法附則39)

 上記(3)のとおり、国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた国内事業者は、当該役務の提供に係る仕入税額控除が制限されますが、国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から受ける消費者向け電気通信利用役務の提供については、その仕入税額控除が可能となる制度が設けられています。

3. 適用開始時期

平成27年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用されます。なお、登録国外事業者の登録制度は、平成27年7月1日から施行されています。

4. 継続的電気通信利用役務の提供を行っていた場合の経過措置

 国外事業者が平成27年3月31日までに締結した電気通信利用役務の提供で、平成27年10月1日前から同日以後引続き行う電気通信利用役務の提供については、利用契約の終了までは改正前の消費税法が適用されます。なお、月ごとに役務の提供を了している、又は、月ごとに契約を更新しているものと認められるものは、平成27年4月1日以後に毎月契約を行っていることになるため経過措置の適用はありません。

以上
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