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「IAS第38号無形資産」について

2009/11/09 カテゴリー:会計基準

IAS(国際会計基準)第38号「無形資産」について


1.はじめに

今回は、国際財務報告基準(IFRS)に規定される「無形資産(IAS第38号)」の内、自己創出無形資産を中心に解説します。IFRSに従った無形資産の会計処理を行うためには、特に研究開発費の支出に係る会計処理の場面で、取引実態の把握、処理方針のルール化、プロジェクト管理方法の見直し等の様々な対応が必要となります。その為、研究開発活動が重要な活動となっている企業にとっては、有形固定資産同様全社的な取組みが必要な分野と考えられます。

2.IFRSと日本基準の主な差異


IFRSと日本基準の主な差異を示すと以下の通りです。

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3.主な差異項目のポイント


取得原価の測定−自己創出された無形資産

IFRSにおける無形資産とは、「過去の事象の結果として、企業が支配し」「将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される」「物質的実態のない識別可能な非貨幣性資産」とされ、他の基準で規定されているもの以外のものを言います。
無形資産を外部から取得した場合には、通常上記の要件を満たしますが、自己創出の場合は、自己創出の過程を「研究局面」と「開発局面」に区別して、「研究局面」の支出は費用処理、「開発局面」の支出は一定の資産計上要件を満たすか否かにより、無形資産処理か費用処理かが決定されます。なお、研究局面と開発局面の区別ができない場合には、そのプロジェクトの支出は全て「研究局面」において発生したように処理します(IAS第38号第53項)。

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■ 資産計上要件

・使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
・無形資産を使用又は売却できる能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するため必要となる技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中に無形資産のために要した支出を、信頼性をもって測定できる能力がある

上記のとおり、自己創出された無形資産については、日本基準と異なり、研究開発活動を「研究局面」と「開発局面」に区分して把握する必要があります(区分できない場合は、すべて研究局面として処理)。更に「開発局面」においても資産計上要件を満たすか否かを判定する必要があります。実務上、こうした対応を可能とするためには、取引実態の把握や、処理方針のルール化を行うとともに、プロジェクト管理の厳格化が必要となり、更にはJ-SOXに対応した内部統制の充実など、全社的な取組みが必要になるものと思われます。

租税公課等の損金算入の可否について

2009/11/02 カテゴリー:法人税/消費税

法人税法上、法人が納付する租税公課等のうち損金の額に算入されないものは限定列挙されています。したがって、それ以外のものは損金の額に算入されることとなります。
具体的には以下のとおりです。

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(注) 法人が、業務の遂行に関連してその役員又は使用人に対して課せられた罰金等を負担した場合には、その法人について課せられた罰金等として取り扱います(法基通9-5-5)。

IFRS:有形固定資産(IAS第16号)

2009/10/26 カテゴリー:会計基準

1.はじめに

今回は、国際会計基準(IAS)第16号に規定されている「有形固定資産」について解説します。日本基準における「有形固定資産」に関する会計処理については、「資産除去債務に関する会計基準」が2010年4月1日以降に開始する事業年度から適用されることにより、国際財務報告基準(IFRS)と概念上の差異は殆どなくなると言われています。
しかし、概念上の差異は殆どなくなるとは言え、今後IFRSの適用が義務付けられる日まで何の準備も不要かと言えば、答えは「No」です。有形固定資産に関する会計基準については、決算数値への影響もさることながら、経理業務に与える影響が大きい分野であるため、十分な検討が必要な分野の一つといえます。

2.IFRSと日本基準の主な差異

IFRSと日本基準の主な差異を示すと以下の通りです。

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3.主な差異項目のポイント

(1) 取得原価の測定

IFRSにおける有形固定資産の認識時期、取得時の測定は、今後、日本でも「資産除去債務に関する会計基準」が適用される(2010年4月1日開始事業年度以降)ことにより、日本基準との大きな差異はなくなります。
しかし、IFRSでは、米国基準と国際財務報告基準との短期統合プロジェクトの結果、2009年1月1日以降に取得した資産について、一定の条件を満たす借入費用の原価算入が強制されることとなりました(改定IAS第23号)。その為、日本基準では自家建設のみに適用が容認されていた借入費用の原価算入が、IFRSでは自家建設に限らず購買についても強制されるという点で両基準に差異が生じています。なお、IFRSで原価算入が強制される「一定の条件を満たす借入費用」とは、「意図した使用または販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産(適格資産)」について、当該適格資産に係る支出が行われなかったならば避けられた借入費用のことを言います。
借入費用の原価算入にあたっては、借入が取得資産と紐付きで実施される場合は実際の借入費用を原価算入します。また、運転資金の一部で資産取得を行う場合のように、借入と取得資産が紐付いていない場合には、当期年度中の借入残高に対応する借入費用の加重平均率を、当該資産に係る支出に乗じて算定します。

(2) 認識後の測定

IFRSでは、当初認識後の測定にあたり、「原価モデル」と「再評価モデル」のいずれかの選択を認めています。「原価モデル」とは、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で有形固定資産を測定する方法のことで、従来の日本基準と同様の考え方です。
これに対し「再評価モデル」とは、再評価実施日における公正価値から、減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で有形固定資産を測定する方法のことで、再評価の頻度は再評価日の公正価値が、貸借対照表日の公正価値と大きく異なることのないように決定する必要があります。また、会計処理は、再評価時の公正価値が帳簿価額を上回る場合には、差額を直接、資本の部に「再評価剰余金」として計上し、再評価時の公正価値が帳簿価額を下回る場合には、計上されている「再評価差額金」をゼロまで減額し、以後は損失として認識されることとなります。
但し、この「再評価モデル」は実務上煩雑であることから、多くの企業で「原価モデル」が採用されています。

(3) 減価償却

「IFRSは原則主義(Principles-based)である。」という言葉をよく耳にしますが、減価償却は、それが顕著な分野の一つと言えます。と言いますのも、日本基準では実務上、法人税法に基づく減価償却を行っているケースが大多数であるのに対し、IFRSでは各社、各資産の使用実態や、経済的便益の消費パターン等に応じた減価償却方法、耐用年数、残存価額の決定が求められています。つまり、会社法や税法に定めた計算を実施していることのみをもって、会計上の減価償却計算の妥当性を説明することはできない訳です。
その結果、実務上は会計用と税務用の2種類の固定資産台帳を整備する必要があり、経理業務への影響が大きい分野と言えます。

?@ 減価償却単位

IFRSでは、有形固定資産項目の全体の取得原価に対し、重要な部分を占める構成部分については、個別に減価償却を実施することを求めています。これは、実体があるものだけではなく、大規模検査や修繕のような実体のないものも含めた構成要素ごとに、耐用年数、残存価額、減価償却方法を適用するというものです(コンポーネント・アカウンティング)。例えば、航空機を取得した場合には、機体部分とエンジン部分を分けて会計処理を行うことや、大規模検査・交換が予定されている資産については、本体部分と取替部分を分けて会計処理し、検査・交換時点で取替資産の新たな取得と除却の会計処理を行う場合などが該当します。

?A 減価償却方法

減価償却方法は、資産について予測される経済的便益の消費パターンを反映したものであることが必要です。なお、減価償却方法は定額法、定率法、生産高比例法などがありますが、それ以外でも経済的便益の消費パターンを適切に反映できる方法であれば採用可能となっています。

?B 耐用年数

資産の耐用年数は、企業にとって使用できると期待される期間です。従って、税務上の耐用年数を利用している場合には、それが実際に使用できると期待される期間と言えるか、過去の経験等を踏まえ検証する必要があります。

?C 残存価額

資産の残存価額は、耐用年数到来時に有形固定資産を処分した場合における見積処分費用を差し引いた受取額を用います。但し実務上、重要性がない場合はゼロとしているケースが多く、日本の税法でも備忘価額1円に達するまで償却できますので、この点はIFRSとほぼ同様と考えられます。

?D 減価償却方法、耐用年数、残存価額の見直し

減価償却方法、耐用年数、残存価額は、少なくとも各年度末に見直しが必要です。見直した結果、以前の見積りと異なる場合には、「会計上の見積りの変更」として、変更が生じた期から修正します(遡及修正しません)。
日本における実務上は、定期的に見直しが実施されないケースもあるためか、有形固定資産の除却時に多額の除却損益が発生するケースが見られます。しかし、IFRSに基づく定期的な見直しが実施されると、基本的にはそうした多額の除却損益の発生は少なくなるものと思われます。
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